AI時代に、これからの子どもへ本当に必要な力とは
先生が前に立ち、机が並ぶ。私たちが知っている「学校」の風景です。
この教室の風景に、あなたも見覚えがあるはずです。先生が前に立ち、机がきれいに並び、みんなで黒板に向かう――。
実はこの形、いまの80代の方から20代の若者まで、半世紀ほとんど変わっていません。
ところが先日、私はまったく違う教室を見ました。午後2時、大人でも眠くなる時間。なのに、退屈そうな子は一人もいなかったのです。
今回は、これからの時代に子どもたちへ本当に必要な力、そして瀬戸内市の学校教育の次の一歩について、なるべく専門用語を使わずにお伝えします。子育て中の方も、お孫さんのいる方も、地域の未来に関わる大切な話です。ぜひ最後までお読みいただき、率直なご意見をお聞かせください。
いまの学校は、先生が教壇に立ち、子どもたちが机に並んで授業を聴き、出された問いに正しく答える――そんなスタイルが一般的です。
思い返してみてください。この仕組みは、いまの80代の方から、高校生や20代の若い世代まで、ほとんど変わっていません。半世紀にわたって、同じ形が続いてきました。
この一斉授業の形は、決して悪いものではありませんでした。多くの子どもに、同じ内容を、もれなく届ける。読み書きや計算の土台を、社会全体で底上げする。日本の学校が長く果たしてきた、大切な役割です。
ただ、この形が広まった時代と、いまとでは、社会が求めるものが変わりました。かつては「決められたことを、正確に、速くこなせる人」が重宝されました。けれど、その役割の多くを、いまは機械が担い始めています。
だからこそ、一つだけ立ち止まって考えたいことがあります。「子どもたちが大人になる頃の世の中」も、50年前と同じなのでしょうか。
答えはおそらく、「いいえ」です。
ここ数年で、世の中は大きく変わりました。与えられた問いに、速く正しく答える作業は、いまやAIやコンピューターが得意とする分野になっています。
調べものをする。文章の下書きを作る。表を計算する。外国語を訳す。少し前まで人が時間をかけていた作業を、いまは機械が数秒でこなします。スマートフォン一つあれば、誰でも使える時代です。
かつては「賢さ」の証だった作業の多くを、機械が肩代わりしてくれる。それ自体は、暮らしを助けてくれる便利なことです。
だからこそ、問いが変わります。「答えを知っていること」よりも、どんな問いを立てるか。その答えをどう使うか。人にしかできない部分の値打ちが、これまで以上に大きくなっていきます。
これからの子どもたちに大事なのは、「正解を速く出せること」だけではありません。そもそも、何を問い、何を作り出すか。そこに価値が移っていきます。
私が瀬戸内市の子どもたちに育ってほしいと願うのは、次の二つの力です。
そして、この二つを支えるのが、仲間と学び合う力です。自分の考えを言葉にし、友達の考えに耳を傾け、一緒により良い答えを探す。一人では届かない場所に、みんなで手を伸ばす経験です。
これらは、机に向かって正解を覚えるだけでは、なかなか身につきません。自分で選び、試し、間違え、もう一度考える――そうした経験の積み重ねの中で、少しずつ育っていくものだと思います。
では、それを実現している学校は、本当にあるのでしょうか。
議員活動の一環で、先進的な教育に取り組む広島県のある学校を視察しました。そこで見たのは、私の知っている「学校」とは、まるで違う光景でした。
何より印象的だったのは、子どもたちの表情でした。「やらされている」顔ではなく、「自分でやっている」顔。分からないことを、恥ずかしがらずに友達へ聞く。聞かれた子は、少し得意げに教える。教室全体が、小さな学び合いの輪でできていました。
ここで大切なのは、これが「特別な才能を持った子だけの話」ではない、ということです。仕組みと大人の関わり方を変えることで、ふつうの子どもたちが、自分から学ぶようになっていた。私はそこに、確かな手応えを感じました。
では、瀬戸内市では何から始められるのか。大きな制度を一気に変えるのではなく、私はこんな順番で進めたいと考えています。
小さく始めて、確かめながら広げていく。その積み重ねが、瀬戸内市らしい学びをつくっていくと信じています。
「素晴らしいけれど、それは特別な地域だからできるのでは?」――そう思われるかもしれません。でも、これはすでに別の地域で現実に動いている教育モデルです。特別な大都市ではなく、地域の学校で実現していました。
一度にすべてを変える必要はありません。できるところから少しずつ。学校の先生方や保護者の皆さんと一緒に、瀬戸内市に合った形を探っていきたいのです。
あなたが受けてきた教育は、どんなものでしたか。瀬戸内市の子どもたちには、どんな学びを受けてほしいですか。ご意見をお聞かせください。皆さんの声を、市政に届けます。
瀬戸内市議会議員 成本崇